ブルゴーニュ サンヴァンサン巡回祭 2012年予告

ブルゴーニュでサンヴァンサンと言えば、ブドウ栽培をしてワインを造る農民たちの守護聖人のこと。

栄光の3日間に続いてブルゴーニュで大きなイベントとなるサンヴァンサン巡回祭は、1938年にシュヴァリエ騎士団によってシャンボール村で開催されて以来、戦中戦後は控えたものの、今回で68回目になります。

本来「サンヴァンサンの日」は1月22日で、村毎にブドウ栽培者の間でサンヴァンサン祭が行われています。各村に一体ずつ特有のサンヴァンサン像があり、それを御輿に担いでミサを行い、その後皆で美味しいワインと食事を囲んでお互いの志気と連帯感を高めます。サンヴァンサン像は前年預かったドメーヌから翌年預かるドメーヌへ運ばれます。

このお祭りと一週間ずらして行われるのが、一般にも公開され、今となっては世界中からワイン愛好家が訪れるサンヴァンサン巡回祭。こちらは毎年幹事の村が変わります。

指定された村は、多くの人を迎え入れるため、前々から準備してサンヴァンサンのキュベを造ったり、村を飾ったりで大忙しになります。「生産者同士で協力する」という事は昔も今も変わらずとても大切なのです。どの村にも助け合い組合があり、例えば病気で働けなくなったヴィニュロンがいれば、無料奉仕で手を貸してピンチをしのぎます。これは昔からの伝統で、今でもそれは続いています。

サンヴァンサン巡回祭は、生産者同士の結束を、村単位を超えて広範囲に強化しようとしたもの。飲んで食べる楽しいお祭りなので、メディアに報道されて以来世界中に知れ渡り、国際色豊かな大勢の人たちが訪れるようになったので、今ではブルゴーニュワインの知名度の強化、販売促進の意味合いが強くなっています。

冬景色の中にポツリと、色とりどりの飾りを施されたワインの都。小学校の学芸会を思わせるような手作りのペーパーフラワーや、ペンキで描かれた木製の看板。
マフラーと帽子でしっかり防寒して、白い息を弾ませながらワインを飲み歩く。出店で地方名物を頬張ってみれば、音楽隊が近づいてくる。

人々を朗らかにさせるのはワインの不思議な力だと思います。そんな楽しいお祭りなので、「翌年どこの村になるのか」はいつだって興味の的です。

さて、2012年の日時と場所は以下の通り!

開催日: 2012年1月28日(土)&29日(日)11時半〜17時
場 所: ディジョン、ニュイ=サン=ジョルジュ、ボーヌに創設されたカヴォー
試飲料: 15ユーロ(7回分の試飲、グラス、グラスを入れるホールダー)

今回は特別、3つの町で同時に開催されます。ブルゴーニュの首都ディジョン、ブルゴーニュワインの首都ボーヌ、秀逸したクリュの集まったコート・ド・ニュイの中心地ニュイ=サン=ジョルジュ。

このように大型のお祭りを企画したのは、「2000年の歴史を持つ1247のブルゴーニュの畑を世界遺産に登録しよう!」という現在進行中のプロジェクトを後援する目的があります。

★ 知っていると便利!

この日は上記3つの駅で自由に乗り降りできるSNCFのフリーパスが特別価格の5ユーロで販売されます。このフリーパスを提示すると、試飲料は12ユーロに割引されます。

電車の時刻表や、更なる詳しい情報は公式サイトをご覧ください。(英語訳あり)
http://www.st-vincent-tournante.fr/climats-de-bourgogne.html



「サンヴァンサン」の伝説について

せっかくなら「サンヴァンサン」についてもっと知ってみませんか?

スペインに生まれ、サラゴスの助祭を務めたサンヴァンサンが十字架にかけられ死去したのが304年1月22日のこと。

何故、ブドウ栽培農家の守護聖人にサンヴァンサンが選ばれたのか…。

名前がヴァンサン Vincent だからという説が最も広く語られています。つまり、Vin(ヴァン)=ワインと、sang (サン)=血から、ブドウの血と解釈することができるからです。

ブドウを圧搾機にかけて果汁を絞るとき、ブドウが身(実)を砕いて血を流すことから、十字架にかけられたキリストと一身同体となってサンヴァンサンも血を流すのだという説もあります。

また彼が没した1月22日は、昔はちょうどブドウ樹が冬眠(寒さのため樹内の活動を全くや止めてしまうこと)から覚めて芽吹きの準備を始める分岐点に当たったそうで、この日を目安に農家は年初の剪定を始めていました。

こんな面白い伝説もあります。

…ある日サンヴァンサンがブドウ畑を通りかかり、農民に話しかけている間、彼のロバが新芽(新枝)を食べてしまいました。その年、そのブドウ樹が他の樹より沢山実をつけたのだそうです。つまり、サンヴァンサンのロバが剪定を発明したのだと…

この伝説から、私は「芽かき」のことをイメージしてしまいます。
現代のブルゴーニュの生産者たちは、冬が終わりに近づいて暖かくなり始めると、一斉に畑に出て芽かきをし、新枝の数をコントロールします。これによって収量を抑えて品質を上げたり、間隔を開けて通気よくブドウを実らせることが出来るのです。

昔の人は「収量を減らす」なんて考えなかっただろうけれど、
サンヴァンサンのロバは、それをヴィニュロンたちに教えてくれたのかもしれませんね。(笑)




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ブルゴーニュ・レザンドール 
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Email : yuko.raisindor@yahoo.fr