ブルゴーニュの、イースター祭

ブルゴーニュでもやはり、過越祭(パック Pâques、英語ではイースター)のお祭りがあります。

毎年変わるのですが、今年は4月23日、日曜日。
地元の人から聞いた話では、夜の間、クロッシュ(教会の鐘)がローマに移動するので、道すがら子供たちに卵を落としていくのだとか。
子供たちを楽しませるための言い伝えなのでしょう。

もう2週間前くらいから、スーパーやお菓子屋さんで、卵型やウサギ型の、色とりどりの銀紙で包まれたチョコレートが店頭を鮮やかに彩っています。

我が家でも二人の小さな娘のためにこっそりと卵型チョコレートを購入し、庭のあちこちに隠しておきました。(ゆで卵に色を塗る方が伝統的です。)




朝、ベッドの中で娘たちにかの伝説を語り、
「クロッシュは家も通ったかな?」
と意気揚々に階段を下りる。(まるでクリスマスのよう)
3歳の娘はパジャマ姿で半信半疑に庭へ出て、籠を手に卵を探し始めました。

まもなく木の陰、花壇の中、家庭菜園のレタスの葉の上など、あちこちに転がる卵を見つけて有頂天!

たま〜に下の妹に小さいのを一つ、
「おんなじのあるから、これはあげる」
と山分けしながら、卵を拾い集めて上機嫌でした。




その後、パック(過越祭)について興味を持ったので、色々調べてみました。
話は長くなりますが…
フランスで観光説明書などを読むとき、こういった話の一つ一つが意外とどこかで繋がって面白くなることがあるので敢えてここに掲載します。

まず最初に、キリスト教のパックとユダヤ教のパックは別なのでご注意を。
(Pâques と書いてSが付く方がフランスで一般に言われている過越祭のパック、Pâqueと書いてSが付かない方がユダヤ教のパックです。)

キ リストがまだ神の息子と思われていない普通の人だった頃、神の思し召しで砂漠に旅立ち、40日間断食したそうです。その間「石をパンに変えてやる」とか、 「寺の上から飛び降りて死んでしまえば楽になれる」とか、悪魔による精神的誘惑が続きました。40日間誘惑に打ち勝ち、最後に悪魔に頭をさげて世界に通用 する力を得る事に成功したのだそうです。帰還後、神の言葉を伝える超越的な存在となって信仰を広めていったとのことです。

このキリストのお話に因んで、信者は四旬節carêmeという行事を設けました。
四旬節とは、灰の水曜日mercredi des Cendres (謝肉の火曜日mardi grasの翌日)から、肉や脂っぽいものを摂らずに、魚や野菜のみの慎ましい食事をする40日間のことをいいます。

パック(過越祭)は、粗食の40日間を終えて、キリストの復活 Résurrectionに感謝しながらご馳走を食べる日なのです。粗食の反対の概念としてフランス人がまず思いつくのはやっぱりチョコレート!なのでしょう。
昔の人は卵(春の到来と芽吹き(生命)の象徴)とウサギ(子だくさんの象徴)で過越祭を祝ったそうですが、現在では色とりどりの銀紙につつまれた卵型やウサギ型のチョコレートでお祝いするのが一般です。(ゆで卵に色を塗る習慣も続いています。)

因みに、ユダヤ教のパックは、モイーズ Moïseによって導かれ、エジプトで奴隷となっていた先祖(ヘブライ人)が脱出できたことを回顧しながら、毎年おこなう宴なのだそうです。モイーズとは旧約聖書の中で神の言葉を伝える者として出てくる人物です。 


以下は現在行われているフランスの慣習をカレンダー式にまとめたものです。日付は今年(2011年)の例です。以前、旅行中に見た光景に「納得!」という方も多いのでは?

3月8日(火)mardi gras 謝肉の火曜日  
ベニエ(揚げドーナツ)やクレープなど、カロリーの高いものを食べる。この頃カーニバルがあちこちで行われる。パン屋さんの店頭にベニエが並ぶ。

3月9日(水)mercredi de Cendres  灰の水曜日
四旬節carême開始。肉や脂を避け、慎ましい食生活に入る。40日間つづく。(但し周囲を見ると殆ど関係なく生活している人が多い。)

4月24日 Pâques 過越祭(イースター)
卵やウサギの形をしたチョコレートを庭に隠し、子供たちがそれを探す。若き頃40日間の修行に耐えたキリスト復活に感謝しながら皆でごちそうを食べる。

※ 私は聖書についての知識がないため、上記の解説に不備な点があるかもしれません。人物の名前もフランス語読みで、英語名ではありません。ブログとしての掲載ということでご容赦ください。

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ブルゴーニュ・レザンドール 
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